
10段階評価よりも観点別評価の方がいいの?

必ずしもそうではないんだ!
問題も発生するよ!
2022年4月から高校で観点別評価が導入されて10段階評価が廃止,5段階評定のみに変更となります
通知表に記載されるお馴染みの10段階評価を見ることもなくなります
詳しくは過去の授業を参考にしてください

成績のつけ方の変化によって,2つの問題が発生します!
観点別評価の3観点の理解を深め,問題点について確かめていきましょう
そこで本時は
- 10段階評価が消えるという噂を聞いた高校生
- 観点別評価について分からず不安な保護者
- 新たな観点別評価に知りたい高校教員
こんなあなたに向けた内容です
高校生および保護者にとっては,評価方法が変わることで大学の推薦入試にどう影響を及ぼすのかが気になりますよね?
高校の先生にとっては,大学入試の推薦選考が変わることを意識しておかないとなりません
本時を通じて新しい評価方法と大学の推薦入試についての理解が深まれば嬉しいです
さっそく本時の結論です
10段階評価が廃止されることで成績に差がつかなくなり,推薦入試にも変化が起こる!
3観点を伸ばしながら,学習活動以外にも力を入れよう!
この結論にしたがって,順番に見ていきましょう
成績に差がなくなり『2つの問題』発生!?2022年4月から高校で始まる観点別評価


観点別評価の3観点って覚えてる?

えーと…
「知識・技能」と何だっけ…

3つをしっかり知らないと成績が伸ばせないよ!
まず肝心なのは,観点別評価の3観点について知ることです
「ただ成績が3つに分かれただけでしょ!」
この理解だと成績を伸ばしていくことが難しいです
3観点について正しく理解をして,5段階評定を伸ばしていくための方法を知りましょう
観点別評価の3観点とは?

2022年4月から高校で始まる観点別評価は,以下の3観点です
- 「知識・技能」
- 「思考・判断・表現」
- 「主体的に学習に取り組む態度」
上記の3観点についてABCの評価を付けていき,それを参考に5段階評定を付けていくことになります
つまり,3観点を伸ばすことが成績を上げるために必須になるということです!
まず前提として,高校教育で育成を目指す資質・能力は以下の3つです
- 知識及び技能(=知識・技能)
- 思考力,判断力,表現力等(=思考・判断・表現)
- 学びに向かう力,人間性等(≒主体的に学習に取り組む態度)


あれっ?
「主体的に学習に取り組む態度」と書かれていないよ!

育てたい資質・能力の『学びに向かう力,人間性等』の中に
「主体的に学習に取り組む態度」が入るよ!
次の図を見てね!!
次に,3観点について全体像をイメージできるようにしておきましょう


『学びに向かう力,人間性等』の評価は,
5段階評定で評価する「主体的に学習に取り組む態度」と
5段階評定では評価しない「感性,思いやりなど」の
2つに分かれるんだ!

う~ん…評価って難しい…。

一番認識しておいてほしいことは,
3観点の力を伸ばすことが重要だということだよ♬
次に,3観点について具体的に一つ一つ確認していきましょう
①「知識・技能」とは?


「知識・技能」は言葉通り,
学習内容の基礎知識だよ!
②「思考・判断・表現」とは?


「思考・判断・表現」は,
「知識・技能」を使いこなす応用力(活用力)だよ!
③「主体的に学習に取り組む態度」とは?


「主体的に学習に取り組む態度」は,
成果や結果が出るまで粘り強く取り組み続けたかを評価するよ!

ぼくは飽きっぽい性格だから
「主体的に学習に取り組む態度」の評価が心配だな…

❝飽きっぽい❞という感覚と,実際の評価が一致するのか…
観点別評価を見ることで振り返ることができるんだ♬
成績に差がつかなくなり,2つの問題発生!?

2022年4月から始まる観点別評価では,次の2点が大きな変化でした
- 観点別評価として,3観点の評価がABCで明記される
- 10段階評価が廃止され,5段階評定のみになる
観点別評価の活用により,3観点のどこを伸ばす必要があるのか,自ら振り返ることができるようになります
一方,10段階評価の廃止によってもたらされることは何でしょうか…??
「1~10」までの評価が「1~5」までになる…
そうです。
他の生徒と同じような成績になりやすく,成績に差がつかなくなるのです!!
すべての科目で『オール4』や『オール3』の成績がつく…
こんなことも現実的に起こるでしょう

成績に差がつかなくなると,何か問題でもあるの??

実は結構あるんだよ…
高校生活の過ごし方にも影響が出てくるかも‼
ここで,成績に差がつかなくなることの問題2点について述べておきましょう
- 高校3年次の推薦選考の際に,同一成績の生徒が生じる可能性
- 大学の推薦入試の評定平均の基準が変更される可能性
それぞれ掘り下げて見ていきましょう
問題①:高校3年次の校内推薦選考
大学の推薦選抜でどの生徒を推薦するかは,多くの学校で3年間の成績を最優先にして校内選考をしています
この3年間の成績というのが,これまでは10段階評価であることが一般的でした
推薦希望の生徒が複数名いたとしても,10段階評価の数値に差があれば,基本的には成績を最優先に考えることで選考を行うことができました
生徒や保護者にとっても,❝成績(10段階評価)❞という明確な基準があれば,校内選考に漏れても納得することができました
その成績に差がつかなくなるとしたらどうでしょう…
例えば,1名の推薦枠のところに,5段階評定が『4.0』で同一の生徒が2名希望いたことを想像してみてください!

たしかに…
成績が同じだと何で決めるんだろう…?

成績以外の判断基準を考えてみよう!
ここで,5段階評定以外の判断基準例を挙げてみましょう
①3年間の出欠状況(欠席・遅刻・早退の数)
②特定科目の成績の良し悪し(大学が理学部なら,理系科目の成績の良し悪しなど)
③観点別評価のA基準の数(もしくはC基準の数や特定科目の観点別評価など)
④生徒会活動・委員会活動の活躍(生徒会長や委員長など)
⑤資格・検定の取得状況(高校入学後の資格・検定の獲得状況)
⑥ボランティア活動などの課外活動での活躍(校外活動への積極的な参加)
⑦部活動での顕著な活躍(全国大会出場や部長などの役職に就いているなど)
⑧人物像(大学入学後に勉学に真摯に励むことができるかなど)
この他にも考えられるかもしれません
上記のような判断基準を設けて検討していくでしょう
問題②:大学の推薦入試の評定平均の基準変更
5段階評定で同じ成績の生徒が並ぶ…
大学側もこれを懸念して,推薦入試の評定平均の基準変更を考えるかもしれません
①評定平均に加え,特定科目の観点別評価でB以上(例えば,理系科目でCが1つもないなど)
②評定平均に加え,資格・検定などの条件追加(英検2級以上取得など)
2022年4月から新たな評価が導入されるため,遅くとも2年後の2024年夏頃までに情報が揃うでしょう
各大学からの発表に注意していく必要がありますね

評価の変更によって,推薦基準に影響があるか気にしておこうね!
【まとめ】観点別評価&5段階評定は成績に差がつかなくなることを理解しよう!

それでは本時のまとめです
- 観点別評価の3観点とは,「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」
- 成績を伸ばしていく上で重要なのは,3観点の力を伸ばしていくこと
- 「知識・技能」とは,言葉通り学習内容の基礎知識
- 「思考・判断・表現」とは,「知識・技能」を使いこなす応用力(活用力)
- 「主体的に学習に取り組む態度」とは,成果や結果が出るまで粘り強く取り組み続けたか
- 成績に差がつかなくなり,高校の校内推薦選考,大学の推薦選抜の基準に変更が生じる可能性
本時は2022年4月から始まる高校の観点別評価の続編として,観点別評価について理解を深めてきました
「たかが評価方法が変わるだけでしょ!!」
そう侮るなかれです
全体像を理解した上で,観点別評価を伸ばしていくのか,学習活動以外にも力を入れていくのか…
これから高校生を迎えるあなたは,自ら判断して高校生活を過ごしてくださいね!
今回は以上です。ありがとうございました