通知表が返ってきたんだけどおかしいんだ!!
観点別評価の5段階評定の通知表だね!どうしたの?
友達のカッピーより数学のテストができたのに成績が低いんだよ!
2022年4月より高校では観点別評価を取り入れた5段階評定で評価をつけることが義務付けられました
実は,観点別評価は成績の逆転現象が起こりやすい評価の付け方といえます
テストの得点が高いのに同じクラスのあの子より成績が低い…
こんなことが起こっても決して不思議ではありません!
そこで本時は
- テストの得点が高いのに他の子より成績が低いのはなぜか?
- なぜ観点別評価は成績の逆転現象が起こりやすいのか?
こんな疑問を解消していきます!
「観点別評価」について詳しく知りたい方は,先にこちらの記事を参考にしてくださいね ↓↓
観点別評価について簡単にまとめると
- 10段階評価の廃止
- 3観点「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」ごとにABC評価を付ける
- 3観点のABC評価と5段階評定が連動して成績を付けるかは高校によって違う
これらを理解した上で読み進めてもらえると,より納得してもらえると思います
ではさっそく本時の結論です
観点別評価による5段階評定は成績の逆転現象が起こりやすい!
テストの合計点より3観点ごとのA評価を目指すことが大事!
まだまだ観点別評価を取り入れた5段階評定は本格導入されたばかりで,正直受け入れづらい部分もあるでしょう
本時を通じて,学校で渡された通知表を正しく理解して今後に活かしてもらえると嬉しいです
それではスタートです!
テストは高いのに成績が低いのはなぜ?観点別評価で起こりやすい成績の逆転現象
2人の数学のテストは何点だったの?
ぼくは数学のテストで70点だったよ
わたしの方が10点低い60点だったよ
観点別評価でどのように成績の逆転現象が起こるのでしょうか?
レッサーくんとカッピーの2人の数学のテストの得点を参考に,一緒に確認していきましょう
成績の逆転現象が起こるしくみ
2人の数学のテストの得点は以下の通りです
- レッサーくん ‥ 数学のテストで70点
- カッピー ‥ 数学のテストで60点
これまでの10段階評価では,テスト自体の評価は「レッサーくん>カッピー」として考えられてきました
観点別評価でどのようにテストの得点を評価されるのか,例を挙げて考えてみましょう
①Ⅹ高校の場合
- ①知識・技能‥‥ 80/100点(A 55点以上,B 40点以上,C 25点以上)
- ②思考・判断・表現‥‥ 20/100点(A 15点以上,B 10点以上,C 5点以上)
- ③主体的に学習に取り組む態度‥‥ 0/100点(テストでは評価なし)
- 5段階評定‥‥A評価2つ以上で5
X高校の基準で,どのように観点別評価が付くのか見てみましょう
※③主体的に学習に取り組む態度はともにB評価とします(テストの得点で成績を付けることが少ないため)
①知識・技能 (80点) | ②思考・判断 ・表現(20点) | ③主体的に 学習に取組む 態度(0点) | 合計 (100点) | 5段階 評定 | |
---|---|---|---|---|---|
レッサー くん | 55点 A | 15点 A | ー B | 70点 AAB | 5 |
カッピー | 40点 B | 20点 A | ー B | 60点 BAB | 4 |
X高校ならぼくの方が成績が良くなるね!
X高校の基準であればレッサーくんの方がA評価が多く,5段階評定も高くなります
テストの得点も成績も「レッサーくん>カッピー」となっていることが確認できます
テストの点数が高い方が成績も良い…至って普通の理屈ですね!
②Y高校の場合
- ①知識・技能‥‥ 70/100点(A 40点以上,B 30点以上,C 20点以上)
- ②思考・判断・表現‥‥ 30/100点(A 20点以上,B 15点以上,C 10点以上)
- ③主体的に学習に取り組む態度‥‥ 0/100点(テストでは評価なし)
- 5段階評定‥‥A評価2つ以上で5
Y高校の基準で,どのように観点別評価が付くのか見てみましょう
※③主体的に学習に取り組む態度はともにB評価とします(テストの得点で成績を付けることが少ないため)
①知識・技能 (70点) | ②思考・判断 ・表現(30点) | ③主体的に 学習に取組む 態度(0点) | 合計 (100点) | 5段階 評定 | |
---|---|---|---|---|---|
レッサー くん | 55点 A | 15点 B | ー B | 70点 ABB | 4 |
カッピー | 40点 A | 20点 A | ー B | 60点 AAB | 5 |
Y高校ならわたしの方が成績が高くなるね!
Y高校だとカッピーに成績が逆転されてるよ!
Y高校の場合だと,テストの得点が低いカッピーの方が成績が高くなることが分かります
成績では「レッサーくん<カッピー」となっていることが確認できます
テストの得点が高い方が成績が低い…一般的には受け入れづらい感覚でしょうか
「観点別評価ではテストの得点と評価の逆転現象が起こりやすい」
これは知っておく必要がありますね!
観点ごとの得点が大事になるよ
※ここで少し補足です
テスト以外の成績の要素として,授業への取り組みや提出物,小テスト,レポートなどがあります
テスト以外でも成績が逆転することがある…テストのみが重要なわけではないことも理解しておきましょう
また,成績のつけ方は高校によっても,場合によっては教科によっても様々です
あくまでもX高校とY高校は一例ですので,その点はご理解ください
テストで100点満点は必要ない?
テストで100点を取る必要はないの?
そうだね!各観点でA評価を取る方が大事だよ
テストの点数は高ければ高いほどよい…「目指せ100点満点!!」
100点を目指して勉強するというのは,今の時代に合わないといえます
これまでは1点でも高い点数を取ることが大事でしたが,観点別評価はそうではないからです
観点別評価では,3観点のA評価を取ることが重要になります
❌テストで100点満点を目指す(これまでの10段階評価)
⭕️3観点でA評価の高得点を目指す(これからの観点別評価)
観点別評価が目指すゴールは,観点ごとのA評価です
各観点でA評価を目指すことが5段階評定向上の秘訣です!
注意点として,あくまでも100点満点を目指す必要がないということであって,テストで高得点を目指さなくてよいということではありません
「テストで高得点を目指して勉強する」
この点は今も昔も変わらない共通認識だと押さえましょう!
観点別評価が重要視される背景
観点別評価を導入する前は,100点満点のテストが次のように評価される可能性がありました
- ①知識・技能‥‥ 100/100点
- ②思考・判断・表現‥‥ 0/100点
観点別評価を通知表に明記する義務がなかったので,極端にいうと知識・技能だけでテストの成績を判断することができたわけです
これは完全なる知識詰め込み型の暗記学習ですね
覚えた分だけ点数が取れるなら暗記学習も悪くないけどな~
ただの暗記学習は今の時代に合わないんだ…
現在の情報化社会では,検索すればほとんどの情報にアクセスすることが可能になりました
ただ知識を詰め込んで暗記するだけの学習では意味がないといえますね
また,人工知能(AI)など機械ができることも増えており,この流れは今後一層加速していくでしょう
知識詰め込み型の暗記学習だと変化する情報化社会に対応できないため,今の時代に合わないことが理解できるでしょう
これからの社会で必要な人材は,テストで100点満点を取れる人材ではなくて,身に付けた知識から思考し,主体的にに走り続けることのできる人材なのです!
❌テストで100点満点を取れる人材(知識詰め込み型の暗記学習)
⭕️身に付けた知識から思考し,主体的に走り続ける人材(3観点をまんべんなく習得する学習)
情報化社会の到来が教育に影響を与えているね
★補足★ 自分の高校の3観点の基準を知りたい!
さてここまで見てくださったあなたに質問です!!
「あなたの高校の観点別評価のA評価の基準は何ですか?」
どうですか?
ほとんどの方が把握していないのではないでしょうか?
言われてみればA評価の基準を知らない…
基準を知らずにA評価を取るのは難しいよ!
ルールを知らなければどんなスポーツでも勝利を掴むことはできません!
まず,高校によって観点別評価のルールが3種類あることを理解しましょう
①学校全体で基準を統一して決めている(基準がどの教科でも共通)
②教科で基準を統一して決めている(基準が教科内で共通)
③科目ごとに基準を決めている(基準が科目ごとに違う)
理想的なのは①です
この場合はどの教科によってもA評価の基準が変わらないので,最も勉強を進めていきやすいと言えますね
次に②です
各教科で基準が異なるので,数学の基準として把握しておいて,観点ごとの勉強を進めていきましょう
最後に③です
これが最も厄介ですが,実態として多くの高校が③となっていることでしょう
③の場合の,観点別評価のA評価の基準を知る方法❝3ステップ❞を伝授します!
- A評価の基準について,担当の科目の先生からの説明を聞き逃さずメモする
- A評価の基準が分からなかったら直接質問する(テスト勉強前に事前に)
- A評価を把握できたら,観点ごとの学習を進めていく
あなたの高校の観点別評価のA評価の基準のルールを知り,A評価という勝利を掴めるようにしたいですね!
基準を知って次からはA評価を取るぞ!
【まとめ】通知表の成績を上げるコツは3観点でA評価を目指すこと
それでは本時のまとめです
- 観点別評価ではテストの得点と評価の逆転現象が起こりやすい
- テスト以外の成績の要素として,授業への取り組みや提出物,小テスト,レポートなどがあり,これらでも成績の逆転は起こる
- テストで100点満点を目指すことより,3観点でA評価を目指すことが重要
- 今後の社会で求められるのは,テストで100点満点を取れる人材ではなくて,身に付けた知識から思考し,主体的に走り続ける人材
- 自分の高校の3観点の評価基準を知っておくべき
いかがだったでしょうか?
高校での観点別評価はまだスタートしたばかりで,世間での理解も進んでいないのが現状です
1学期の通知表を見て「10段階評価がなくなっている!!」と驚いた保護者もいたことでしょう
本時の内容が「10段階評価がなくなっている」から「A評価を増やすには?」の視点を持つきっかけとなれば嬉しいです
今回は以上です。ありがとうございました